ゴルフで「打ち直し」と呼ばれる場面には、規則に基づいて前の場所からもう一度プレーする場合と、元の球がOBや紛失になる可能性に備えて暫定球を打つ場合があります。両者は同じではありません。前の場所からプレーし直す処置には罰が伴う場合があり、暫定球は時間短縮のため条件付きで先に打つ球です。状況ごとの違いを整理しておきましょう。
ゴルフで打ち直しが必要・選択できる主な場面
ミスショットだから自由にもう一度打てるわけではありません。規則上、前の場所からプレーする必要がある場合や、自分でストロークと距離の救済を選ぶ場合があります。
OBや紛失球では原則としてストロークと距離の処置
球がOBになった、または規則上紛失となった場合は、原則として1罰打を加え、直前のストロークを行った場所から元の球または別の球をプレーします。
- 第1打がOB
- 1罰打を加える
- ティーイングエリアから次に打つ球は第3打
委員会が別のローカルルールを採用している場合は、その内容も確認します。
プレーヤーはいつでもストロークと距離の救済を選べる
規則18.1では、球の場所にかかわらず、1罰打を加えて直前のストロークを行った場所からプレーするストロークと距離の救済を選べます。
極端に難しい場所へ球が止まったときなどに選択肢となります。
アンプレヤブルでも前の場所へ戻る方法がある
ペナルティーエリア以外でアンプレヤブルの救済を選ぶ場合、1罰打で直前のストローク場所へ戻る方法があります。後方線上やラテラル救済と比較して選びます。
【前の場所からプレーする代表例】
- OB
- 紛失球
- 自らストロークと距離を選択
- アンプレヤブルでストロークと距離を選択
同じ「打ち直し」に見えても適用する規則は状況で異なります。
単なる練習として打ち直すのとは違う
ラウンド中にミスしたから同じ場所からもう一球打つ行為を、規則上の処置と混同しないようにします。競技では練習ストロークなどに関する規則もあります。
暫定球とは?打ち直しとの違い
暫定球は、元の球がペナルティーエリア以外で紛失した可能性、またはOBの可能性があるときに、プレー時間を節約するために使える球です。
暫定球は元の球がまだ確定していない段階で打つ
元の球がOBかもしれない、深いラフなどで見つからないかもしれない場合、探しに行ってから戻る時間を避けるために暫定球をプレーできます。
- 元の球がOBの可能性がある
- ペナルティーエリア以外で紛失する可能性がある
元の球がペナルティーエリア内でしか紛失し得ないことが分かっている場合、暫定球の規則は使いません。
暫定球だと明確に宣言してから打つ
暫定球をプレーする場合は、別の球を打つ前に、それが暫定球であることを相手、マーカーまたは同伴競技者へ明確に知らせます。
【宣言で注意すること】
- 別の球を打つ前に知らせる
- 暫定球であることが明確に伝わる表現を使う
- 単に『もう一球打つ』だけで曖昧にしない
宣言せず別の球を前の場所からプレーすると、その球がストロークと距離の罰のもとでインプレーになる場合があります。
元の球が見つかれば暫定球を放棄する場合がある
元の球が規則に従ってインバウンズで見つかり、プレーを続けられる状況なら、暫定球を放棄し元の球でプレーします。
暫定球に行ったストロークは、その暫定球が放棄されればスコアには数えません。
条件を満たすと暫定球がインプレーになる
元の球がペナルティーエリア以外で紛失した、OBだった、または元の球があると推定される場所よりホールに近い地点から暫定球をプレーした場合など、暫定球がストロークと距離の罰のもとでインプレーになります。
暫定球を打つ手順
暫定球を使うときは、探しに行く前のタイミングと宣言が重要です。
OB・紛失の可能性を判断する
打球方向、境界、ラフや林の状態などから、元の球がOBまたはペナルティーエリア以外で紛失する可能性があるかを判断します。
【暫定球の基本手順】
- OB・紛失の可能性を確認
- 暫定球と宣言
- 前の場所から別の球をプレー
- 元の球を規則の範囲で探す
- 結果に応じて元の球か暫定球を続ける
ペナルティーエリアだけが問題なら、規則17の処置を確認します。
前の場所から規則に従ってプレーする
直前のストロークを行った場所に応じ、規則14.6に従ってプレーします。ティーイングエリアからなら、そのティーイングエリア内からプレーします。
元の球と区別できるよう、球の番号や識別マークを確認しておくと安心です。
暫定球を続けて打てる範囲を理解する
元の球があると推定される場所とホールから等距離、またはそれよりホールから遠い地点であれば、暫定球をさらにプレーしても暫定球の状態を維持できます。
【暫定球の状態が変わる判断】
- 元の球が規則どおり見つかったか
- 元の球がOBだったか
- 元の球が紛失となったか
- 暫定球をどの地点からプレーしたか
元の球の推定位置よりホールに近い地点から暫定球をプレーすると、暫定球がインプレーになる条件に関係します。
元の球を探す時間にも注意する
球探しには規則で定められた時間があります。時間内に見つからなければ紛失球となるため、暫定球を打っておくと前の場所へ戻る時間を減らせます。
打ち直し・暫定球でスコアを数える方法
初心者が混乱しやすいのが、どのストロークと罰打を数えるかです。暫定球が採用されたか放棄されたかで変わります。
OBで暫定球がインプレーになった場合
ティーショットがOBで、暫定球をティーイングエリアから打っていた場合、最初のストローク、1罰打、暫定球へのストロークを数えます。
- 第1打:元の球
- OBによる1罰打
- 暫定球をティーから打ったストローク:第3打
その暫定球がインプレーになれば、以後その球でホールを続けます。
元の球が見つかり暫定球を放棄した場合
元の球が規則に従って見つかり、暫定球を放棄する場合、暫定球に行ったストロークと、その暫定球だけに関係する罰はスコアへ数えません。
元の球のストローク数からプレーを続けます。
実際の条件には個人差や状況差があるため、この考え方を基準にしつつ、前後の条件も確認して判断しましょう。
ストロークと距離を自分で選んだ場合
前の場所からプレーし直すストロークと距離の救済を選んだ場合は1罰打を加えます。無料の「やり直し」にはなりません。
【数え間違いを防ぐポイント】
- 元の球へのストロークを消さない
- ストロークと距離の1罰打を加える
- 暫定球が採用されたか確認する
- 放棄した暫定球のストロークを混ぜない
迷った場合は次のホールへ進む前にスコアを整理します。
ローカルルールがある場合は別の処置も確認する
委員会がOB・紛失球について代替のローカルルールを採用している場合など、通常のストロークと距離以外の選択肢が設けられることがあります。
初心者が打ち直しで迷わないための判断手順
打球が曲がったときは、すぐに別の球を打つのではなく、OB・紛失・ペナルティーエリアのどれが考えられるかを整理します。
まず球が行った区域を確認する
白杭などのコース境界、ペナルティーエリアの表示、林や深いラフなどを見て、適用する規則を判断します。
【判断の流れ】
- OBの可能性はあるか
- ペナルティーエリアか
- ペナルティーエリア以外で紛失しそうか
- 暫定球を使える状況か
- 前の場所からプレーする必要があるか
場所が分からなければコース表示やローカルルールも確認します。
暫定球なら必ず宣言する
時間短縮のためにもう一球打つ場合も、暫定球として扱いたいなら明確な宣言が必要です。
元の球と暫定球の識別もできるようにします。
実際の条件には個人差や状況差があるため、この考え方を基準にしつつ、前後の条件も確認して判断しましょう。
競技では現行規則とローカルルールを優先する
打ち直しや暫定球には細かな条件があります。競技ではR&A/JGAの現行規則と委員会が定めるローカルルールを確認します。
- ストロークと距離:1罰打で直前の場所からプレー
- 暫定球:OB・紛失の可能性に備える球
- ペナルティーエリア:暫定球とは別の救済規則を確認
似た言葉でも適用場面を分けます。
安全と進行を優先する
前の場所へ戻る必要が生じると後続組との安全確認も必要になります。OBや紛失の可能性がある段階で暫定球を適切に使うことは、プレー時間の短縮に役立ちます。