ゴルフでいう「6インチプレース」は、球のある場所から6インチ以内の範囲へ球を動かしてプレースできる、いわゆるプリファードライの運用を指すことがあります。ただし、いつでも使える通常のゴルフ規則ではありません。委員会やゴルフ場が採用したローカルルールの対象区域・距離・条件に従って使う必要があります。正式な競技では、その日のローカルルールを必ず確認しましょう。
ゴルフの6インチプレースとは?
6インチプレースは、悪天候などでコース状態が広範囲に悪化した際などに、委員会がプリファードライのローカルルールを採用した場合の一例です。
元の球の近くへプレースできるローカルルール
R&Aのローカルルールひな型E-3では、プリファードライを採用する際、救済エリアの大きさとして1クラブレングス、1スコアカードレングス、6インチなどを委員会が指定できます。
【6インチが指定された場合の基本】
- 基点は元の球の箇所
- 指定された6インチ以内へプレース
- 元の位置よりホールへ近づかない
- ローカルルールで指定された区域内で処置
「6インチ」はプリファードライで指定できる距離の一例であり、常に6インチと決まっているわけではありません。
公式規則に常設された自由な救済ではない
通常のプレーで球のライが悪いからという理由だけで、自由に6インチ動かすことはできません。ローカルルールが採用されている場合に、その条件の範囲で利用します。
ローカルルールがなければ、原則として球はあるがままプレーします。
プリファードライはコース状態への対応として使われる
長雨などの悪条件でフェアウェイの状態が広く悪化した場合などに、フェアプレーやコース保護のため委員会が採用することがあります。
- 長雨などで広範囲のコース状態が悪い
- 通常の芝管理が難しい状態
- フェアプレーやコース保護のため委員会が必要と判断
プレーヤー個人が当日に独自で採用するものではありません。
「6インチリプレース」という呼び方と正式な処置を混同しない
日常会話では6インチリプレースなどと呼ばれることがありますが、ローカルルールひな型E-3では、元の球または別の球を指定された救済エリアへ「プレース」してプレーする処置です。
6インチプレースを使える場所と条件
ローカルルールが採用されていても、コース上のどこでも使えるとは限りません。対象区域を確認します。
ひな型E-3はフェアウェイの長さ以下に刈られた区域を想定する
R&Aのひな型E-3は、ジェネラルエリアのフェアウェイの長さかそれ以下に刈られた部分で使うことを意図しています。委員会は対象区域を具体的に指定できます。
- ジェネラルエリアか
- フェアウェイの長さ以下に刈られた区域か
- 特定ホールだけなど追加指定がないか
- 当日のローカルルールにどう記載されているか
ラフなどでも自動的に6インチプレースが使えるわけではありません。
球の一部が対象区域に触れているか確認する
ひな型E-3の文言では、球の一部が指定された区域に触れていることが条件になります。
境界付近では、球の位置と当日のローカルルールを確認します。
この項目だけで結論を出さず、ほかの条件や実際の状態も合わせて確認すると、判断のずれを減らしやすくなります。
ホールに近づく場所へ置けない
救済エリアは元の球の箇所を基点に設定され、基点よりホールに近い場所へプレースすることはできません。
【場所選びの注意】
- 指定距離を超えない
- ホールへ近づかない
- 指定されたコースエリア内に置く
- ローカルルールの追加条件を守る
打ちやすい場所ならどこでもよいという制度ではありません。
委員会が指定する距離は6インチ以外の場合もある
プリファードライの救済エリアは6インチとは限らず、スコアカードレングスや1クラブレングスなどが指定される場合があります。
6インチプレースの基本的なやり方
実際の処置は、委員会が定めたローカルルールの文言に従います。ここではひな型E-3で6インチが指定された場合を基準に整理します。
まず元の球の箇所を基点として確認する
救済エリアは元の球の箇所から測ります。球を動かす前に元の位置を把握しておくと、指定範囲を判断しやすくなります。
【6インチ指定時の流れ】
- 元の球の箇所を確認
- ローカルルールの対象区域か確認
- 元の箇所から6インチ以内を確認
- ホールに近づかない場所を選ぶ
- 球をプレースして手を放す
当日の規定にマーキング等の追加条件がある場合はそれにも従います。
球をドロップするのではなくプレースする
プリファードライのひな型E-3では、指定された救済エリアの箇所を選び、球をその場所へプレースします。膝の高さからドロップする救済とは異なります。
ドロップとプレースを混同しないようにします。
一度プレースしてインプレーになった後の扱いに注意する
ひな型E-3では、球をインプレーにする意図で接地させて手を放した時点で、プレースする箇所を選んだことになります。
【やり直しで注意すること】
- 何度も良いライを探して置き直さない
- プレース後に勝手に位置を変えない
- 別の救済規則を使う場合はその規則に従う
一度の救済で自由に何度も位置を変更できる制度ではありません。
誤所からプレーしないよう範囲を確認する
ローカルルールの指定範囲外など誤った場所からプレーすると罰が関係します。距離や区域に迷ったらプレー前に確認します。
6インチプレースと他の救済の違い
似たように球を動かす処置でも、カート道路からの救済や球をふくローカルルールとは目的と方法が違います。
カート道路からの罰なし救済とは基点が違う
動かせない障害物からの罰なし救済では、完全な救済のニヤレストポイントなどを基準に救済エリアを決めます。6インチプレースは元の球の箇所を基点にします。
【処置の違い】
- プリファードライ:元の球の箇所を基点に指定範囲へプレース
- 動かせない障害物:規則16に基づく基点・救済エリアへ処置
- ペナルティーエリア:規則17の罰あり救済
球を動かせるという共通点だけで同じ処置だと考えないようにします。
球をふくだけのローカルルールとも違う
ローカルルールひな型E-2は、条件に応じて球をマークして拾い上げ、ふいた後に元の箇所へリプレースする仕組みです。プリファードライE-3は指定範囲内の別の箇所へプレースできます。
「球をきれいにできる」だけで同じルールではありません。
カジュアルラウンドの独自ルールとは区別する
仲間内で「今日は全部6インチOK」と決めることがありますが、それは正式なゴルフ規則・委員会のローカルルールによる競技運用とは区別して考えます。
【競技での注意】
- 仲間内の慣習を持ち込まない
- 競技条件を確認する
- 委員会のローカルルールを読む
- 分からない場合は委員会へ確認する
ハンディキャップ提出などが関係する場合も、適用される規定を確認します。
ローカルルールは必要な期間だけ採用されることがある
プリファードライは悪条件への対応として導入され、コース状態が改善すれば撤回されることがあります。以前使えたから今日も使えるとは限りません。
コンペ・競技で6インチプレースを確認する方法
スタート前に競技条件やローカルルールを確認すれば、自己流の6インチプレースを避けられます。
競技要項と当日のローカルルールを見る
競技要項、スコアカード、掲示、スタート前の説明などにプリファードライの記載がないか確認します。
- プリファードライ
- 6インチプレース
- 救済エリアの大きさ
- 対象区域
- 適用ホール・期間
「オール6インチ」など独自表現が使われる場合は、具体的な条件を主催者へ確認します。
対象がフェアウェイだけか確認する
ラフや林まで対象だと思い込むと誤所からプレーする原因になります。どの区域にある球へ適用できるかを先に確認します。
ホールごとの限定がないかも見ます。
この項目だけで結論を出さず、ほかの条件や実際の状態も合わせて確認すると、判断のずれを減らしやすくなります。
距離の測り方を確認する
6インチなのか、スコアカードレングスなのか、1クラブレングスなのかで救済エリアが変わります。
【スタート前の確認手順】
- ローカルルールを読む
- 対象区域を確認
- 指定距離を確認
- プレース方法を確認
- 不明点を委員会・スタッフへ確認
同伴者の記憶だけで処置しないようにします。
現行の公式規則を基準にする
競技ではR&A/JGAの現行規則と、委員会が正式に採用したローカルルールを優先します。ローカルルールは競技ごとに変わる可能性があります。